創業融資を受けたいとき|事業計画・自己資金・面談で今日準備すること

起業に必要な設備費、仕入、家賃、広告費、人件費を自己資金だけで賄えないとき、創業融資は有力な選択肢です。ただし、「制度の上限まで借りる」「法人にすれば通りやすい」と考えると、開業後の返済が資金繰りを圧迫します。

創業融資で重要なのは、事業経験、顧客、必要資金、売上根拠、返済原資を一つの計画として説明することです。この記事では、日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資を中心に、申込み前の準備を整理します。

開業届や青色申告など、個人で事業を始めた直後の税務手続きがまだの場合は、先に個人で起業したら最初にする税務手続きも確認してください。

今日やること

  1. 設備資金と運転資金を分けて必要額を出す
  2. 自己資金の入出金履歴を整理する
  3. 売上の根拠を顧客数・単価・稼働日で計算する
  4. 赤字が続く月数を想定して資金繰り表を作る
  5. 日本政策金融公庫と地域の制度融資を比較する
  6. 開業前に見積書・契約案・許認可条件をそろえる

創業融資の主な選択肢

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫の国民生活事業には、新規開業・スタートアップ支援資金があります。2026年8月時点では、新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人が対象で、設備資金・運転資金に利用できます。

創業期の人、具体的には新規開業者または税務申告を2期終えていない人については、原則無担保・無保証人、利率引下げ、長期返済の案内があります。ただし、審査があり、希望額・希望条件どおりになるとは限りません。

信用保証協会付き融資

銀行・信用金庫から借りる際に、信用保証協会が公的な保証人となる仕組みです。全国の信用保証協会には創業関連保証があり、自治体が利子や保証料を補助する制度融資を設けている場合もあります。

金融機関、信用保証協会、自治体の審査・手続が関係するため、日本政策金融公庫とは必要書類、期間、保証料、自己資金要件が異なります。所在地の自治体、信用保証協会、金融機関へ確認してください。

借りられる額より、返せる額を決める

制度上の融資限度額は、あなたが借りるべき金額ではありません。返済は、売上ではなく、仕入・家賃・人件費・税金などを払った後の資金から行います。

次の3つの数字を作ります。

  • 開業に絶対必要な初期費用
  • 売上が計画を下回っても続けるための運転資金
  • 保守的な利益から払える毎月返済額

楽観・標準・悲観の3つの売上ケースを作り、悲観ケースでも生活と事業を継続できるか確認します。

設備資金と運転資金を分ける

区分準備する資料
設備資金機械、店舗工事、車両、パソコン、什器見積書、カタログ、工事内訳、物件資料
運転資金仕入、家賃、人件費、広告費、外注費月別資金繰り、契約案、仕入条件、給与計画

「とりあえず運転資金300万円」と丸めず、何か月分の何の費用かを説明します。融資金を申告した使途と異なる目的へ使うと、追加融資や金融機関との信頼に影響します。

自己資金で見られること

自己資金は、金額だけでなく、どのように準備したかが重要です。給与から計画的に貯めた履歴、退職金、資産売却、贈与などの出所を説明できるようにします。

  • 通帳を直前だけ大きく増やさない
  • 親族から借りたお金を自己資金と説明しない
  • 現金で保管していた場合は出所資料をそろえる
  • 開業準備で既に払った費用の領収書を保存する

自己資金要件は制度によって異なります。最低要件を満たすだけでなく、資金管理の習慣を示せる状態にします。

創業計画書で説明すること

日本政策金融公庫の創業計画書には、創業の動機、経営者の略歴、商品・サービス、取引先、従業員、借入状況、必要資金、事業の見通しなどを記載します。

創業の動機

「昔から夢だった」だけでなく、なぜ今、なぜその地域・顧客・商品なのかを書きます。前職経験、資格、顧客からの相談、試験販売などをつなげます。

経営者の経験

勤務先名だけでなく、担当業務、売上実績、原価管理、スタッフ管理、仕入先、人脈、資格を具体的に書きます。未経験分野なら、研修、共同経営者、外部専門家でどう補うか示します。

売上の根拠

売上は「月100万円」ではなく、客数×客単価×営業日、契約社数×月額、席数×回転数などに分解します。見込み客、予約、試作品、受注予定、競合調査があれば資料を添えます。

原価と固定費

材料費、仕入、決済手数料、配送費、家賃、光熱費、人件費、広告費、社会保険、税理士費用、借入返済を月別に見積もります。自分の生活費も別に計算します。

申込み前にそろえる資料

  • 創業計画書と月別資金繰り表
  • 本人確認書類、通帳、借入明細
  • 設備・工事・車両等の見積書
  • 物件の賃貸借契約書案・図面
  • 許認可証または申請準備資料
  • 資格証、職歴、実績、取引予定を示す資料
  • 法人の場合は登記事項証明書・定款等

資料は制度と申込者で異なります。申込前に相談予約をし、必要書類を確認してください。

面談で聞かれやすいこと

  • なぜこの事業を選んだのか
  • 顧客は誰で、どう集めるのか
  • 売上予測の根拠は何か
  • 計画より売れない場合に何を減らすか
  • 自己資金をどのように準備したか
  • 既存借入と生活費をどう払うか
  • 許認可・物件・仕入先の準備状況

計画書を暗記する必要はありません。数字が変わった理由を、自分の言葉で説明できるようにします。

融資前に契約・発注してよいか

融資が決まる前に、高額な物件契約、内装工事、設備発注をすると、融資が減額・否決された場合に支払いだけが残ります。手付金、解約条件、融資特約を確認し、金融機関へ事前に相談します。

補助金と併用する場合は、交付決定前の契約・発注・支払いが補助対象外になる制度があります。融資のために先に発注する前に、補助金の公募要領も確認してください。

断られたときに確認すること

  • 必要資金が過大ではないか
  • 自己資金と入出金履歴に説明できない点がないか
  • 売上根拠が希望だけになっていないか
  • 経験・資格・許認可が不足していないか
  • 個人の既存借入を含め返済負担が重くないか
  • 規模を小さくして再計画できないか

否決理由がすべて開示されるとは限りません。別制度へ同じ計画をそのまま出すのではなく、商工会・商工会議所、よろず支援拠点、税理士等と計画を見直します。

まとめ

創業融資は、制度の上限から考えるのではなく、必要資金と返済可能額から組み立てます。設備資金と運転資金を分け、自己資金の履歴、経験、顧客、売上根拠を資料で示します。

申込みを急いで高額な契約を先に結ぶと、融資が予定どおりにならなかったときに危険です。事前相談、見積書、資金繰り表、契約の解約条件をそろえてから進めてください。

公式情報

公式情報確認日:2026年8月8日
次回確認予定:2026年10月1日
金利、限度額、返済期間、保証料、必要書類、自治体制度は申込時点と地域で異なります。