親や配偶者の介護が始まり、遅刻や欠勤が増えたとしても、すぐに退職届を出す必要はありません。介護休業は自分が介護を抱え込むための長期休暇ではなく、介護認定、ケアマネジャーとの調整、施設や在宅サービスの手配など、仕事と介護を両立できる体制をつくるための期間です。
今日最初にすること:会社には退職の相談ではなく「家族の介護が必要になり、介護休業や勤務調整を相談したい」と伝えます。同時に、家族が住む地域の地域包括支援センターへ連絡し、要介護認定と当面の支援を相談してください。
今夜や明日の介護が回らないとき
転倒、意識障害、急な呼吸困難などがある場合は119番を優先します。生命の危険はないものの、一人で置いておけない、食事や排せつができない、認知症による徘徊がある場合は、地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口、かかりつけ医へ相談します。
費用が心配な場合は、介護サービスの利用を諦めず、負担限度額認定や高額介護サービス費についても確認してください。
介護休業は家族1人につき通算93日・3回まで
育児・介護休業法の介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分けて取得できます。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。事実婚の配偶者も含まれます。
希望する開始日から休むためには、原則として開始予定日の2週間前までに会社へ申し出ます。急に介護が始まった場合も、口頭だけで済ませず、メールや社内様式で申出日、対象家族、開始予定日、終了予定日を残してください。
介護休業期間中の賃金が支払われるかは会社の規定によります。賃金が出ない場合でも、雇用保険の介護休業給付を受けられる可能性があります。
介護休業給付は休業前賃金の67%が原則
介護休業給付の支給額は、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」です。休業中に会社から賃金が支払われる場合は、給付が減額または不支給になることがあります。正確な受給資格と金額は、会社の人事・労務担当またはハローワークへ確認します。
申請は通常、会社を通じてハローワークへ行います。会社が制度を知らない、手続きを拒む、必要書類を出さない場合は、勤務先を管轄する都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)やハローワークへ相談してください。
数時間・1日だけ休むなら介護休暇
通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、介護サービスの手続き、家族の世話などで短く休みたい場合は介護休暇を使えることがあります。対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日までで、1日または時間単位で取得できます。
介護休暇が有給か無給かは会社の規定によります。年次有給休暇とは別の制度なので、会社から「有給を使い切ってから」と言われた場合は、就業規則と制度の取扱いを確認します。
休まずに勤務を調整する制度もある
介護をする労働者は、会社の制度に応じて短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用の助成などを利用できる場合があります。また、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限を申し出られることがあります。
「毎週火曜の午後だけ通院付き添いが必要」「午前8時の訪問介護に立ち会ってから出勤したい」のように、困っている時間帯を具体的に示すと調整しやすくなります。
2025年4月から会社の対応義務が強化された
2025年4月から、労働者が家族の介護に直面したと会社へ申し出た場合、会社は介護休業制度などを個別に周知し、利用意向を確認することが義務になりました。会社には、介護離職を防ぐための研修、相談窓口、利用事例の提供など、雇用環境を整える義務もあります。
さらに、労働者が40歳前後の時期に、会社から介護休業制度等の情報提供を受ける仕組みも設けられています。制度利用を理由とする解雇や不利益な取扱い、上司や同僚による介護休業等へのハラスメントは禁止されています。
退職前に地域包括支援センターへ相談する
仕事の制度だけでは介護は回りません。地域包括支援センターでは、要介護認定、ケアマネジャー、訪問介護、通所介護、短期入所、認知症支援、家族介護者の相談などを案内します。家族本人が相談を拒む場合でも、家族だけで相談できます。
要介護認定の申請中でも、緊急性が高ければ暫定的なケアプランでサービスを利用できる場合があります。退院日が迫っている場合は、病院の医療ソーシャルワーカーにも早めに伝えてください。
会社へ伝える内容
- 介護が必要な家族と自分との関係
- 現在困っている時間帯と頻度
- 介護休業を取得したい期間
- 介護休暇、短時間勤務、残業・深夜業制限の希望
- 緊急連絡先と、今後変更の可能性があること
病名や家庭事情を必要以上に詳しく話す必要はありません。会社が確認に必要な範囲を尋ね、提出書類の名称と期限を書面でもらいます。
今日やること
- 地域包括支援センターへ相談した
- 要介護認定や介護サービスを確認した
- 会社へ介護に直面したことを申し出た
- 介護休業・介護休暇・勤務調整を比較した
- 介護休業給付の見込額を確認した
- 家族、ケアマネジャー、職場で役割分担を作った
- 退職後の健康保険、年金、収入を試算した
会社が制度を使わせないとき
「正社員以外は使えない」「忙しいから認めない」「取得するなら辞めてほしい」と言われた場合は、その発言、日時、相手、申出書、メール、就業規則を保存します。都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)では、育児・介護休業法に関する相談を受けています。
退職を迫られている場合は、退職届や合意書へすぐ署名せず、総合労働相談コーナーなどへ相談してください。
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主な公式情報
制度対象、申出方法、賃金、会社独自制度は雇用形態や就業規則で異なります。公式情報確認日:2026年7月25日