結論
対象者:病気やけがで働けず、給料が減った・止まった人です。退職を急ぐ前に、勤務先の人事担当、加入している健康保険、主治医へ相談してください。業務外の病気やけがなら傷病手当金、仕事や通勤が原因なら労災保険、退職後もすぐ働けない場合は失業給付の受給期間延長、長期的な障害が残る場合は障害年金を利用できる可能性があります。
手続きの流れ:今日やること
- 主治医へ、仕事を休む必要と休業見込み期間を確認する
- 会社の就業規則で、病気休暇、休職、診断書、復職手続きを確認する
- 健康保険へ「傷病手当金の対象と申請方法を確認したい」と連絡する
- 仕事・通勤が原因なら、健康保険ではなく労災の可能性を労基署へ相談する
- 退職予定または退職済みで働けない場合は、ハローワークへ受給期間延長を相談する
家賃、食費、医療費がすでに足りない場合は、傷病手当金の決定を待つだけでなく、市区町村の自立相談支援機関や福祉事務所にも同じ日に相談してください。
最初に「業務外」か「仕事・通勤が原因」かを分ける
傷病手当金は、原則として業務外の病気やけがで働けない場合の健康保険給付です。仕事中や通勤中の事故、過重労働や業務による疾病の可能性がある場合は、労災保険の対象になることがあります。
- 業務外の病気・けが:加入する健康保険へ傷病手当金を相談
- 仕事・通勤が原因:労働基準監督署へ労災保険を相談
原因がはっきりしない場合は、発症時期、仕事内容、残業時間、事故状況、通勤経路、医師の説明を整理し、健康保険と労基署の双方へ相談してください。
対象条件:傷病手当金の主な条件
協会けんぽでは、次の4条件をすべて満たす場合に傷病手当金の対象となります。健康保険組合では書式や提出先が異なる場合があります。
- 業務外の病気やけがの療養であること
- 医師の意見などにより、仕事に就けないと判断されること
- 連続する3日間の待期を含め、4日以上仕事を休んでいること
- 休業期間について給与の支払いがないこと。給与が少ない場合は差額支給の可能性があります
待期の3日間には、有給休暇、土日、祝日などの公休日も含まれます。ただし、連続3日間でなければ成立しません。
公式案内:協会けんぽ・傷病手当金
支援内容:支給額と支給期間
1日あたりの支給額は、原則として支給開始日前12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2に相当する額です。加入期間が12か月未満の場合は、別の計算方法があります。
支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。途中で復職して支給されない期間があっても、同じ傷病について通算されます。
給与、有給休暇の賃金、障害年金、出産手当金などとの調整が生じる場合があります。実際の支給額は加入する健康保険へ確認してください。
申請時に必要になるもの
- 傷病手当金支給申請書
- 本人が記入する申請内容
- 事業主による勤務・給与の証明
- 医師による労務不能期間の意見
- 振込先など保険者が求める情報
申請書は本人、会社、医師の記入が必要になることがあります。月ごとに申請するか、複数月をまとめるかは、保険者と会社へ確認してください。協会けんぽは、審査の結果支給可能な場合、受付日から10営業日以内の支払いを案内しています。
注意点:退職前に確認すること
傷病手当金を受給中または受給できる状態で退職する場合、資格喪失後も継続して受けられることがあります。協会けんぽでは、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日の時点で傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることなどが条件です。
退職日に出勤すると継続給付へ影響する場合があります。退職届を出す前に、健康保険、会社、主治医へ確認してください。任意継続に入れば新しい病気でも傷病手当金が出る、という制度ではありません。
休職・復職は就業規則を確認する
休職制度は、法律ですべての会社に一律義務づけられた制度ではなく、会社の就業規則で期間、対象、診断書、復職判定、休職満了時の扱いが定められることが一般的です。
- 休職できる期間
- 有給休暇を先に使う必要があるか
- 社会保険料の本人負担をどう支払うか
- 診断書の提出先と更新時期
- 復職時に必要な主治医・産業医の意見
- 短時間勤務や業務軽減が可能か
会社と話した内容はメールや書面で残してください。休職・復職・退職をめぐるトラブルは、総合労働相談コーナーへ相談できます。
仕事や通勤が原因なら労災保険
仕事中・通勤中のけが、過重労働、業務による病気や精神障害などは、労災保険の対象になる可能性があります。労災と認定されると、療養費や休業補償などを受けられます。
休業4日目以降は、休業1日につき給付基礎日額の60%の休業補償等給付と、20%の休業特別支給金が支給される仕組みです。業務災害の最初の3日間は、原則として事業主が休業補償を行います。
会社が労災ではないと言っても、最終的な認定は労働基準監督署が行います。公式案内:厚生労働省・労災補償
退職後もすぐ働けない場合の失業給付
雇用保険の基本手当は、働く意思と能力があり、すぐ就職できる「失業の状態」が要件です。病気やけがで働けない間は、原則として基本手当を受けられません。
離職後に病気やけがなどで30日以上働けない場合は、受給期間を延長できます。延長できる期間は最長3年で、住所または居所を管轄するハローワークへ申請します。代理人や郵送が認められる場合もあります。
公式案内:ハローワーク・基本手当と受給期間延長
長期化した場合は障害年金を確認する
病気やけがによって日常生活や仕事に長期的な制限がある場合は、障害年金を受けられる可能性があります。病名だけで決まる制度ではなく、初診日、保険料納付要件、障害の状態などを確認します。
- 初診日が国民年金加入中など:障害基礎年金の1級・2級を検討
- 初診日が厚生年金加入中:障害厚生年金の1級から3級を検討
初診日の医療機関と日付が重要です。最初に受診した病院の診察券、紹介状、お薬手帳、健康診断結果などを保管し、年金事務所へ相談してください。
公式案内:障害基礎年金の受給要件、障害厚生年金の受給要件
メンタルヘルス不調の場合
うつ病、適応障害、不安障害などで働けない場合も、医師が労務不能と判断し、ほかの条件を満たせば傷病手当金の対象になり得ます。仕事が原因と考えられる場合は、精神障害の労災認定も検討します。
働く人向けの相談先は、厚生労働省のこころの耳・相談窓口案内から確認できます。自傷や自殺のおそれがあるなど命に危険がある場合は、119番や110番へ連絡してください。
利用できない場合の代替策:生活費と医療費も不足している場合
傷病手当金や障害年金は申請当日に支給される制度ではありません。今日の生活費、家賃、医療費がない場合は、生活費が足りないときの相談先、医療費が高くて払えないとき、生活保護を申請したいときも確認してください。
窓口で伝える言葉
病気・けがで働けず、〇月〇日から休んでいます。給与が減った・支払われていないため、傷病手当金の条件、必要書類、申請期間を確認したいです。退職や労災、失業給付の受給期間延長についても相談したいです。
確認済み事実:傷病手当金の条件・支給額・支給期間・退職後継続給付、労災の休業補償、失業給付の受給期間延長、障害基礎年金・障害厚生年金の主な要件は、協会けんぽ、厚生労働省、ハローワーク、日本年金機構の公式情報で確認しました。
公式情報確認日:2026年7月23日
対象地域:日本全国(健康保険組合の書式、会社の休職制度、労基署・年金事務所の管轄には差あり)
次回確認予定日:2027年4月1日