暴力、傷害、性犯罪、ストーカー、強盗などの被害にあうと、恐怖や混乱から何をすればよいか分からなくなることがあります。被害を受けた人に責任はありません。すべてを一人で説明したり、その日のうちに今後を決めたりする必要もありません。まず安全を確保し、治療と証拠の保全を優先してください。
今日最初にすること:加害者が近くにいる、追われている、けがをしているなど緊急の場合は110番または119番へ連絡します。緊急ではないものの警察へ相談したい場合は、最寄りの警察署または警察相談専用電話#9110へ連絡してください。安全な人や場所を確保し、加害者へ一人で連絡しないことが大切です。
今も危険があるとき
加害者が自宅や勤務先を知っている、待ち伏せや脅迫が続いている、家族にも危険がある場合は、帰宅や出勤を急がず警察へ相談します。位置情報の共有、SNSの公開範囲、合鍵、連絡先、通勤経路なども見直します。
加害者との話合い、謝罪、示談を自分だけで進める必要はありません。「警察へ言ったらもっとひどいことをする」と脅されている場合も、その言葉自体を記録して相談してください。
けがや体調不良は医療機関で記録する
出血、強い痛み、意識障害、呼吸困難がある場合は119番を利用します。外見上の傷が小さくても、頭部や首への暴力、薬物を使われた疑い、性被害、強い不安や不眠がある場合は医療機関へ相談してください。
受診時には、可能な範囲で「犯罪被害によるけがや症状であること」「いつ、どこを、どのように傷つけられたか」を伝えます。診断書、診療明細、領収書、処方内容、通院交通費の記録は、警察への説明、損害賠償、給付制度などで必要になることがあります。
性犯罪の被害では、着替えたり入浴したりした後でも相談できます。証拠が残っているかを自分で判断せず、警察の性犯罪被害相談電話#8103や、地域のワンストップ支援センターへ連絡してください。
消える前に証拠を保存する
安全を確保したうえで、次の情報を保存します。原本を加工せず、コピーやバックアップを作ります。
- メッセージ、メール、SNS投稿、通話履歴、留守番電話
- 傷、壊れた物、現場、衣服の写真や動画
- 日時、場所、加害者の言動、目撃者を記したメモ
- 診断書、医療費、交通費、修理費、休業による損失資料
- 防犯カメラ、ドライブレコーダー、位置情報の有無
- 警察や支援窓口へ相談した日時、担当者、受付番号
店舗や集合住宅の防犯カメラは一定期間で上書きされることがあります。映像を自分で受け取れない場合でも、警察や弁護士へ早めに伝えてください。SNSで被害内容を詳しく公開すると、相手に行動を知られたり、証拠やプライバシーへ影響したりする可能性があります。
警察へ何を伝えるか
緊急通報では、現在地、けがの有無、加害者が近くにいるか、凶器の有無を先に伝えます。その後、発生日時、場所、行為、加害者の特徴、逃げた方向などを説明します。
被害届、告訴、捜査、事情聴取の違いが分からなくても、まず相談できます。警察には被害者支援担当者や相談窓口があり、刑事手続の説明、医療機関や支援団体の紹介、状況に応じた安全確保などを案内することがあります。
一度に話すことが難しい場合は、時系列のメモを持参し、付き添いを希望することも伝えます。対応に不安がある場合は、担当者名と説明内容を記録し、警察本部の被害相談窓口へ改めて相談します。
犯罪被害給付制度を確認する
故意の犯罪行為により亡くなった人の遺族、重い傷病を負った人、障害が残った人は、犯罪被害給付制度の対象になる場合があります。遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金があり、被害内容、治療期間、障害の程度、加害者との関係、他の補償などを踏まえて審査されます。
給付金は被害にあえば自動的に支給されるものではありません。申請者の住所地を管轄する都道府県公安委員会へ申請し、警察署または警察本部を経由して提出できます。申請できる期間が定められているため、対象か分からない段階でも、住所地を管轄する警察の犯罪被害給付担当へ早めに確認してください。
診断書、収入、家族関係、被害の発生を確認する書類などが必要になることがあります。領収書や医療記録を処分せず、必要書類の一覧を窓口から受け取ります。
法テラスで法律相談と弁護士支援を確認する
法テラスの犯罪被害者支援では、刑事手続、損害賠償、示談、加害者との接触、犯罪被害給付などについて、制度や相談窓口の案内を受けられます。要件を満たす場合は、無料法律相談や弁護士費用の援助を利用できることがあります。
2026年1月13日からは、故意の犯罪による死亡、一定の性犯罪、治療期間が3か月以上または一定の後遺障害がある傷害などを対象に、犯罪被害者等法律援助の制度が始まりました。対象となる場合は、無料法律相談、捜査機関への同行、刑事裁判への付き添い、損害賠償請求、示談交渉、犯罪被害給付金申請などの支援を受けられます。
犯罪被害者支援ダイヤルは0120-079714です。被害の種類や経済状況によって使える制度が異なるため、具体的な事情を伝えて確認します。
自治体の支援は地域で異なる
都道府県や市区町村には、犯罪被害者等の総合的対応窓口が設置されています。自治体によって、見舞金、転居費用、家賃、家事・育児、カウンセリング、手続きへの付き添い、住民票等の交付手数料、生活相談などを実施している場合があります。
制度名、対象犯罪、居住要件、申請期限、警察への届出要件は地域によって異なります。「自治体名 犯罪被害者 支援」「自治体名 犯罪被害 見舞金」で公式情報を確認し、警察庁の地域別窓口一覧も利用してください。
仕事や学校を休む必要があるとき
通院、事情聴取、裁判、安全な住まいへの移動などで仕事や学校を休む場合は、詳細を必要以上に話さず「犯罪被害に関する手続きと治療が必要」と伝えます。就業規則の特別休暇、年次有給休暇、傷病手当金、在宅勤務、勤務時間変更などを確認します。
加害者が同じ職場や学校にいる場合は、安全確保のため、接触しない配置、連絡窓口の一本化、個人情報を伝えないことを求めます。対応記録は書面やメールで残します。
窓口へ持っていくもの
- 本人確認書類
- 被害の日時・場所・経過をまとめたメモ
- メッセージ、写真、動画、通話履歴などの証拠
- 診断書、診療明細、領収書、処方内容
- 修理費、交通費、休業損害などの資料
- 警察の担当部署、担当者、受付番号
- 安全な連絡方法と、連絡してよい時間帯
今日やることチェックリスト
- 危険があれば110番、けががあれば119番へ連絡する
- 安全な場所と頼れる人を確保する
- 医療機関を受診し、診断書と領収書を保管する
- メッセージ、写真、映像、日時の記録を保存する
- 警察署または#9110へ相談する
- 犯罪被害給付制度の対象を警察へ確認する
- 法テラスへ法律相談と費用援助を確認する
- 自治体の総合的対応窓口と独自支援を確認する
関連するガイド
主な公式情報
- 警察庁「犯罪被害にあわれた方・支援者のためのポータルサイト」
- 警察庁「犯罪被害給付制度」
- 警察庁「犯罪被害者等給付金支給裁定の申請」
- 警察庁「性犯罪被害相談電話#8103」
- 法テラス「犯罪の被害にあわれた方へ」
- 法テラス「犯罪被害者等法律援助」
- 警察庁「地方公共団体の総合的対応窓口一覧」
緊急性、犯罪の種類、被害状況、申請要件、自治体制度によって利用できる支援は異なります。危険がある場合は記事の手順より110番を優先してください。公式情報確認日:2026年7月25日